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消毒について

消毒の種類や効果

前回に引き続き、今回は消毒のことについてお話ししてゆきます。

消毒とは対象物(人体を含め)の細菌やウイルスなどの微生物を減らし病原性のないようにする事を目的として行う作業です。
臨床上大変重要なことですが、同じような意味で滅菌、殺菌、除菌、抗菌などあります。

滅菌とはその文字通り微生物を殺滅する事です。
有害無害問わず対象物についている細菌やウイルスをゼロにする事を言います。
なお日本薬局法では、滅菌を微生物の生存確率が100万分の1以下としています。

殺菌とは対象やその程度を限定せず微生物を殺す事です。
一部を殺したのみでも殺菌になりますので、前の『消毒、滅菌』のように病原性を失わせることまでには至りません。

除菌とは、洗浄や拭き取り、濾過などによって対象物の菌を除く事です。
食品衛生法では、除菌を『濾過等により、原水等に由来し当該食品中に存在し、かつ、発育しうる微生物を除去することをいう』としています。

抗菌とは、微生物の増殖を抑制する事とされます。
先の滅菌、消毒のように菌を殺したりするのではなく、菌数を増やさない効果をいいます。

このように、眼には見えませんが生活する環境には非常に多くの微生物が存在しています。
多くの場合それらは人体に無害なのですが、中には中毒や感染症の原因になるものもある為、リスクを出来るだけ減らしてゆかなければなりません。

実際に臨床の現場で使用されるものは、金属の器具をオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で滅菌するほか、浄水による手指の洗浄そして消毒になります。
一般に鍼灸施術で使用するのは、皮膚に影響の少ない消毒力中程度の薬品が中心になります。
強力な消毒性を持っていても皮膚にダメージを与えてしまうことは、極力避けなければなりません。

施術前には、グルコン酸クロルヘキシジン等の消毒薬入りの石けんを使用して手指を洗浄し、施術部分のアルコール消毒を行なったのち鍼灸を行うという手順になります。
水洗浄を行えない環境に於いては、消毒薬入りの清浄綿とアルコールを併用する場合もあります。

コロナ禍において、感染防止の意義はより深く認識されるようになりましたが、鍼灸においてもこのように細心の注意を払って感染症防止に努めていることをお解り頂ければ幸いです。

次回以降はツボの知識について、何回かお話ししてゆこうと思います。


参考HP:健栄製薬、kenei-pharm.com/medical/countermeasure/
2022年01月31日